ヴェンダース監督は復活したミッキー・ローク主演の「The Wrestler」に金獅子賞を贈り、日本勢は評判は高かったもののコンペ受賞はなりませんでした。で、監督がものすごく気を遣っているのがわかります。
自分の作品には厳しいけれど、心優しい人だから、選んだりするのは、さぞ苦しかったことでしょう。お疲れ様でした。
まぁ、ファンとしては審査する方になるより、出品してもらいたいと、どうしても思ってしますが、こういう活動も映画界のためですからね…
「セックスと嘘とビデオテープ」を世に送ったのは、カンヌでのヴェンダース監督でしたから。この「レスラー」も良い映画なんでしょう。
コンペ部門に3作品選ばれた日本映画について問われると、ヴェンダースは、「『崖の上のポニョ』の歌は、審査員全員の頭に焼き付いているよ。ぼくたちは皆、観客と同じぐらいポニョが好き。でも賞の数は限られているんだ」と顔をしわくちゃにさせてコメント。すると審査員の1人、ダグラス(・ゴードン)が立ち上がり、ポニョの歌まねをして会場を沸かせた。ヴェンダースが、「ほかの2つの日本映画(『アキレスと亀』、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』)にも心の底から愛情をおくりたい。ぼくは、ポニョの歌を一生忘れない」と語ると会見場が喝さいに包まれた。
そのヴェンダースも、11日間の審査委員長としての“激務”に燃え尽きたのか、「もう2度と審査委員はしない」と発言。「とてもいい映画祭だったし、最高に意義のあるディスカッションを繰り広げた」と語りながらも、「賞の数は限られていて、自分がすべてを決められる訳でもない。決して終わることのない討論に、胸が引き裂かれる思いになったりもした」と各賞決定にいたるまでに、激しい道のりがあったことを匂わせた。